乳がんサバイバーが働きやすい会社とは
Q9 乳がん治療と仕事との両立について悩んでいること、会社や社会・行政への要望などがありましたらご自由にお書きください。
この質問には自由記述でたくさんの回答をいただきました。ここではその中からいくつかご紹介します。
今回は再発です。 10年前に乳ガンになったときは派遣で仕事をしていて、治療後に復帰させてもらう予定でした。 が、入院中にリーマンショックのニュース。 闘病中に派遣切りに遭い、保険証の問題などもあり、困りました。 そのとき、派遣は肝心なときにこんな目に遭うのか。 契約だろうが、直接雇用がいいと思い、職業訓練を受け、施設の事務として社会復帰しました。
乳がんに限らず病気になった時に、雇用主や上司や同僚と何でもフランクに話し合える環境がどの企業にも整えば良いなぁと思います。
高額医療費、傷病手当などの社会保障があってもガンの通院治療は経済的負担が大きい。乳ガン特有の下着、ウイッグ等への 経済的支援が欲しい。
東京都の非常勤講師をして、学校を掛け持ちで、働いています。 会社といっていいのかわかりませんが、ほとんどフルタイムで毎日勤務します。職場への要望より、 働きながら、仕事を続けられるような時間に配慮してくれる病院を 望みます。私が偶然選んだ病院は、配慮してくれるところでしたが、逆にここ以外は通えません。
重労働の仕事なので休職しています。今のところ副作用が少ないので働けたと思う。が周りに気をつかわれるのが嫌なので休んでいます。働いていない分収入が減っているので早く復帰したいと思う。
治療後、求職をした時に、面談で乳がんのことを全て話して受け入れて頂いた。 理解してもらっている。 しかし、周囲ではなかなか難しい問題のようです。今後の行政の取組に期待します。
前職場の人が 私の病気を口外したみたいです。それに深く傷つきました。 守秘義務もあるべきでは?と思います。
病気でも働く権利がある事、協力体制が必要な事を深く理解して貰えたら有難い。上長だけが知っていても、知らない同僚に伝えるか迷う。病気を盾に特別扱いされてると偏見を持たれるのが怖い。イコール死のイメージで哀れんで見られるのが辛い。理解のない人へ伝える事で敗北感に苛まれるのを恐れ、言わずに普通のフリして無理してしまう。実際は副作用が地味に辛い(ホルモン療法)。雇用する側が乳がんへの理解を周知して貰えたら理想です。医療機関勤務ですが、それでもやはり偏見や差別はあると思います。中々難しい問題です。
私の場合、ほとんど女性の職場なので病気への理解があり、とても助かりました。 パート勤務なので、時間の融通もしてもらいました。 正社員だったらどうだったんだろうと思いました。
療養期間開けに 常勤出来る体力が残っているか不安。シングルマザーなので大学に通う子供の学費も必要で自分の貯金を取り崩している。年齢的に再就職無理。
介護の仕事をしていたが、抗がん剤をする事になり両立は無理だと思い自分から辞めました。休職を勧められたが、以前から休みがなかなか取れない事に不満があったので断りました。 手術抗がん剤後に乳房再建をしたいと思う気持ちがあり、一年後に再建手術をしました。半年後には入れ替え手術があります。再建での入院期間に新しい職場に迷惑をかける事を考えると、なかなか就職活動に踏み切れません。治療の副作用によって、どれだけ今まで通りに働けるかは各個人違うとおもうので、各会社や周りの方の理解がとても大切だと思います。 私の勤務先は、女性ばかりの仕事ですので理解があり、私の希望を聞いてもらえてるので、本当に周りの方々に感謝です。他の企業で働いている方も、同じような環境を持てるはたらことを切に願います。
全摘手術 抗がん剤 放射線を終え、今ホルモン治療中ですが、関節痛とリンパ浮腫で 身体の動きが悪いのですが、それ以外内面的にもとても元気で、仕事を探してますが、この身体ではなかなか仕事がみつからないのが、現状です。ながらワーカーとかTVでもやってますが、現実は、きびしいので、ハローワーク以外で仕事探せる場所が、(乳がんとか専門の)あると嬉しいです。
以前と同じようには働けないのでは、居づらくなるのではないかという不安がある。働くからにはまた以前のように頑張りすぎてストレスをため、それが再発を引き起こすのではないかという不安も。
アンケートの回答のご紹介は以上です。アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました!
アンケートからは、乳がんと告知されたとき、7割近くの方が仕事を辞めずに元の職場で働き続けていることがわかりました。
しかし乳がんに理解がある会社がある一方、まだ多くの方が会社から理解を得られずに働きにくさを感じている状況が浮かび上がりました。
転職を考えている方は3割程度となっています。これにはそもそも40代~50代の女性の転職は難しいという社会状況も影響していると考えられます。
また乳がんになってから仕事への考え方が変化したと回答した方は8割にのぼり、特にワークライフバランスを重視するように変わった方が多い結果となりました。
治療が一段落したとしても、再発の不安はありますし、長期間続くホルモン治療の副作用が辛い方もいらっしゃいます。仕事は続けながらも、やはり体を一番に大切にしたいと考える方が多いこともうなづけます。
乳がんに対する理解を深めてほしい、制度を充実させてほしい、という企業や行政に対する要望も多くみられました。
「働きやすさ」は、乳がんだけでなく様々な制約を持つ人にも必要です。「働き方改革」などにみられるように、少しづつですが、日本の労働環境も変わってきました。今度に期待したいところです。
「乳がんになって周りの方への感謝の気持ちが大きくなった」と回答された方も多くいらっしゃいました。あなたの周りにも、乳がんだけでなく、目に見えなくても様々な制約から働きにくさを感じている方がきっといるのではないでしょうか。
乳がんという経験があるからこそ、そうした方々に理解を示したり、手を差し伸べることができるはず。小さな一歩かもしれませんが、こうした小さなアクションから「みんなが働きやすい社会」を一緒に作っていきましょう。