6:周りに期待し過ぎない
乳がんと告知されたとき、ご主人と当時高校生だった二人の息子さんにはメールで報告しました。
もともと夫は無口なタイプなので、大丈夫だよ、とだけ言ってくれました。実際、親族にがんを患っているけれど元気にしている人も多かったので。長男は何を言っていいかわからない様子、次男からは絶対に治してね、と言われました。乳がんになって辛くて泣いたのは夫の前で一回だけ。夫には自分の弱さを見せられました。
ところが、乳がんの告知から乳房全摘同時再建の手術と10日間の入院、その後の乳房再建のための数回の手術や、抗がん剤と分子標的薬の点滴などの長い治療期間中、ご主人が病院に足を運んだのは家族の待機が必要な最初の手術のときと、入院中のお見舞い1回だけでした。
家族にはあんまり期待しちゃいけないですね(笑) 結局退院の付き添いは高校生の息子がしてくれましたが。自分が病気をして学んだことは、病気になったことは特別なことではない、乳がんになったからといって、自分がさも偉くなったような気になってはいけない、ということです。
病気になって体力的にも精神的にも辛くなると、つい周りの人に優しくしてもらいたくなりますが、いつもそれが叶うとは限りません。乳がんになるのは初めての経験ですが、周りの人にとっても乳がん患者と一緒にいるのは初めての経験。どのように接していいのかわからないはずです。相手に過度に期待することが、かえってストレスになってしまうことも。
そんなときは患者会や乳がんコミュニティなどに参加して、同じ境遇の人と気持ちを共有してみるのはいかがでしょうか?心が穏やかになるでしょう。
7:乳がんになったからこそ得られるものもある
まにゃさんは、リンパ管と脈管に侵襲しているので、再発・転移が気になっています。
再発・転移については考えてもしょうがないのであまり考えないようにしています。とはいえ、この前の人間ドックで肺のレントゲンに影が映って再検査になったときは落ち込んで、もし転移していたら乳房再建をしたことは無駄だったのかと考えました。 でも再建していたからこそ、こんなに毎日楽しく前向きに生きてこられたのだと思うのです。治療中の1年も大切な私の人生。結局、肺には異常は見つからずほっとしましたが。
乳房再建手術を終えて1年経ちました(注:インタビュー当時)。その間、ネットやリアルで200名以上の方と交流を持ち、ご自身が得た知識を元に乳房再建に悩む多くの女性を励ましてきました。
人間関係が広がりました。乳房再建をしていなかったら今の私は無いです。よく外出する私をみて息子にも楽しそうだね、って言われています(笑)。つい先日も、乳がんになってから親しくなった友人と、この年齢で心から信頼できる友達に出会えるなんてキャンサーギフトだね、と話したところです。
今の私の役割は、乳房再建で悩んでいる方に一歩踏み出す勇気を与えること。乳房再建をするか・しないか、どのようにするかを決めるのは自分です。後悔しないように自分で納得して選択していく。私の励ましでそういう人が一人でも増えればと思っています。
乳房再建についてはこちらのページでも詳しい情報を掲載しています。
まにゃさんと一緒に7つの心構えを考えてみました。不安な気持ちを持ちながらも、前向きに新しい人生を歩み始めているまにゃさんはとても素敵です。
乳がん治療は確かに辛いこともありますが、周りへの感謝や自分を大切にすることなど、これまでとは違う新しい視座を手に入れることもできるのではないでしょうか。乳がんの経験を活かして、新しい人生をデザインしていきましょう。 (了)
新しいライフスタイルを見つけたい!と思っているなら、BC Life Workbookが役立ちます。
BC Life Workbookは、これから乳がんと共に生きていく「新しい私」をデザインするためのワークブックです。書き込んでいくことで、乳がんになってからの不安を軽減させ、乳がんと共に生きる新しい人生を見つけていくことに役立ちます。