乳がんになったことを、「こういう人生もいいな」と受け入れているcocoさん。彼氏や友達との素敵なエピソードも話してくれました。
ーーcocoさんは趣味でダンスをされているんですよね。
週に2回、ストリート系のダンスを8年続けています。乳がんと診断されて1ヶ月ぐらいはそんな気分じゃなくてダンスはできませんでした。手術日が決まってからはしばらくできないだろうから、と少しの間復帰して、その後3ヶ月間休会したんです。そしたら手術後2週間したら先生にもう踊っていいよって言われて。結局休会は1ヶ月だけで復帰しました。腕を上げると痛いとか違和感はあるけど、踊れています。
ーー乳がんになったからなにかあきらめなくちゃ、とかは思いましたか?
ダンスはしばらくできなくなるだろうな、とは思っていました。まさか1ヶ月で復帰できるとは思わなかったけど(笑)
母親が乳がんになっても変わらず仕事をしていたのを見ていたので、なにかができなくなっちゃう、っていうのは無かったですね。乳がんの経験者が近くにいたというのが大きかったと思います。 ダンスが復帰できたことはうれしかったですね。今までと同じことができるんだーって。今は踊れるだけでうれしいと思えます。
もしいま乳がんと診断されたばかりで悩んでいる方がいたら、いままでやってきたことは続けたほうがいいと思います。自信になるし、日常を取り戻した気持ちになりますから。
ーーいま自分が乳がんであることをどのように考えていますか?
たぶん忘れることはこの先もないと思います。今でも心のど真ん中にはいつもあるし。ただ悲観的にはなっていないんです。 再発や転移のことは人並みに心配しているけど、乳がんになっていままでなら出会わないような人に出会えたんで。友達も増えたし。プラスになったことが結構あるんです。世界が広がった気がしています。 乳がんになって良かった、というわけでもないんですけど、こういう人生もいいな、って思っています。
私は病気前と同じようにしたいんです。それ以上でもそれ以下でもない。病気になったから新しいことをしよう、という人もいると思うんですけど、私は今までとおりがコンセプト。仕事も今までとおりだし、好きなものも買うし。毎年行っている沖縄旅行も続けているし。
ーーもともとアクティブだし、自分らしい生き方をされていたんでしょうね。
乳がんになる前から自分のことが好きなんです。いままでの自分が好きだから、いまのままの自分でいよう、だから、それ以上でもそれ以下でもない。 私、親に勉強しろ、っていわれたことが無くて。なんでも自分でやる子でした。だから結婚しろ、とも言われない(笑)
ほっとかされた分、自分で何でもしなくちゃっていう考え方になりました。自分に自信がないと治療法も選べないじゃないですか?その辺の優柔不断なところはなかったです。先生の存在も大きいんですけど。乳がんは特に自分で選ばなくちゃいけないことが多いから勉強も大切ですよね。私も4,5冊本は読みました。
ーーお付き合いされている方との関係はどうでしたか?
つきあって5年半になる彼氏がいます。実は乳がんになって大喧嘩したことがあって。最初の細胞診の結果だけでこれからどうなるかまだわからなかったときに、私の気分の落ち込みがすごく、一人のときはずっと泣いていたんです。そしたら彼がまだ乳がんだって確定したわけでもないのになんでそんなに落ち込むのか、ってイライラし始めて。私が「どんなに苦しいのか、経験していないあんたにはわからないんだー!」と泣きながら大喧嘩(笑)
ーーどうやって仲直りしたんですか?
わーーーってこっちが話したら、「わかった」って言ってくれて。あ、そう、わかったらいいけどさ、みたいな感じで終わりました(笑)それから喧嘩らしい喧嘩はないですね。乳がんだから別れようみたいな話にはならなかったです。
あ、でも言われてうれしい言葉があって。全摘か温存かで悩んでいたときに、「片方の胸がなくなっても平気だよ」って言ってくれて。結婚前だし女性として胸が無くなるのがショックだったから、そういう風に言ってもらえたのがうれしかったです。
術後の傷も、見せているのは彼だけなんですが、私が傷のことを「気持ち悪いよねー、私が見ても気持ち悪いよ」っていうと「そう?別に大丈夫だよ」って言ってくれる。そういうのがあるから別れないんだと思います。お互い気取らずにいられるので、それはよかったな、と思っています。
ーーとっても素敵な方ですね。お友達とのエピソードは何かありますか?
女性の友達で、その子には卵巣がんで亡くなってしまった友達がいるんです。だから私ががんになったというとものすごく心配してくれて。私からすればそんなに心配してくれなくてもいいのにってぐらいに心配してくれたんです。
その友達に検査で骨とか肺への転移がないことがわかった、って伝えたら「今年一番うれしかったこと」と言ってくれたんです。そのとき年末だったんですけどね(笑)
やっぱり身近な人の死を体験している人は寄り添い方が違います。やっぱり人だな、って思います。自分に寄り添ってくれる人が周りにいることがとっても大切。